千葉県で放課後等デイサービスをフランチャイズ開業する

2012年度の児童福祉法改正によって、障害児の放課後対策の強化を目的として創設されたのが「放課後デイサービス」です。
サービスの利用状況は毎年増加傾向にあり、特に障害児相談支援、児童発達支援、放課後等デイサービスの占める割合が大きくなっているのが現状です。
2014年から令和元年にかけて児童発達支援事業所数が2倍以上に増加している地域も少なくない中、千葉県では、「児童1000人当たりの放課後等デイサービス事業所数」は、0.94と全国平均1.02に届かない結果になっています^(※1)。千葉県では、利用者数の需要に対して事業所が足りていない状況であるといえるでしょう。

2024年度時点で、千葉県内の放課後等デイサービス事業所は約1000か所^(※2)。千葉市・船橋市・松戸市などの人口集中地域では事業所が集積している一方で、長生郡や夷隅地域など郡部では事業所数が限られており、通所までの送迎負担が課題となるケースもあります。

京葉・東葛は事業所が多く、外房・南房総は比較的少ないエリアです。開業を検討する際は、この地域差を踏まえた立地選定が重要です。

近年、知的障害者数は増加傾向にあり、平成23（2011）年から平成28（2016）年にかけて約34万人増加したと推計^(※3)されています。知的障害は発達期に発現するものであることから、療育手帳の取得者数の増加が背景にあると考えられます。
さらに、文部科学省の統計によれば、特別支援教育を受ける児童生徒数も過去10年で2倍に増加。とくに、通常学級に在籍しながら「通級による指導」を受ける児童生徒数は、2012年度の7.2万人から令和4年度には16.3万人へと2.3倍に急増^(※4)しています。
知的障害や発達障害などの軽度障害を持つ子どもが、学校生活のなかで支援を必要としている層として顕在化してきていることを示していると言えるでしょう。

今後、特別支援教育の対象児童がさらに増加する見込みであることから、放課後等デイサービスのニーズも継続的に高まることが予想されます。

人気のある事業所では定員が常に埋まり、キャンセル待ちが発生している地域もあります。特に千葉市や市川市などの都市部では、年度始めを待たずして新規受け入れを締め切る事業所も見られます。

また、重症心身障害児の受け入れが可能な施設数は限られており、県の目標（28か所→37か所）に対して整備が追いついていないのが実情です。こうした状況を受け、県や市町村では補助金・規制緩和などを通じた支援策が徐々に拡充されています。

千葉県の放課後デイサービスへの助成金は、厚生労働省から「人材確保等支援助成金（雇用管理制度助成コース）」^(※5)や「キャリアアップ助成金」^(※6)など主に雇用を安定させるために活用できるものがあります。
「人材確保等支援助成金」は、事業主が諸手当制度や研修制度、短時間正社員制度（保育事業主のみ）などを導入し、従業員の離職率を改善するなど一定の目標を達成した場合に、最大57万円が助成される制度です。
一方「キャリアアップ助成金」は、有期雇用、短時間、派遣などの非正規雇用労働者のキャリアアップを支援する制度で、「正社員化コース」と「処遇改善コース」など複数の支援メニューがあります。
正社員化コースでは、有期雇用労働者を正社員へ転換した場合、企業規模や要件に応じて一人当たり最大80万円が支給されます。また、処遇改善コースでは、賃金規定の共通化や賞与・退職金制度の導入などを実施した場合に、1事業所あたり最大60万円程度の助成が受けられます（制度内容により異なる）。

また、施設の設備に対する支援として「IT導入補助金」などもあり、障がい者支援事業所などの事務作業にかかる時間の短縮に役立てることもできます。各種助成金や補助金の受付は、限られた期間に募集することも多いため、まずは各地域の役所に問い合わせることをおすすめします。

千葉県では、国の助成金に加え、市町村単位で独自の補助制度を設けている自治体もあります。
たとえば、千葉市や船橋市では、放課後等デイサービスを含む障害福祉サービス事業所の設備整備費に対し、最大3/4が補助対象です（国1/2＋市1/4）。補助を活用することで、改修工事・スプリンクラー設置・バリアフリー化といった初期投資の負担を軽減できます。

また、ICT導入支援や事業所立ち上げ支援を行う自治体もあり、2023年度には千葉市で最大100万円のICT機器導入補助が実施^(※7)されました。具体的には、クラウド型記録システムやタブレットの導入が補助対象となり、日々の業務効率化や記録の精度向上に役立てられています。

補助金や助成金の申請では、以下の点を必ず確認しましょう。

• 募集期間の厳守：締切を過ぎた申請は一切受理されません。
• 事前着手禁止：原則として、申請前に発注・契約した工事や機器は補助対象外。
• 書類の不備ゼロ：見積書や事業計画書、法人登記簿などは最新かつ正式なものを用意。
• 助成金・補助金の重複受給の禁止：同じ経費に対して複数制度を併用しないよう注意が必要です。

制度内容や要件は年度ごとに変わるため、社労士・行政書士など専門家のアドバイスを受けることも有効です。

千葉県で放課後デイサービスを開業するためには、児童福祉法の趣旨や関係法令などを十分に理解した上で、千葉県の公式ページから申請様式を入手して、開設予定月の前月5日ごろまでに、一度目の事前相談を行う必要があります。申請書類は、開設予定月の前月15日までに提出し、指定審査で認可を受けなければいけません。
児童福祉法の定義により、6年ごとに指定審査の更新を申請し、再度認可を受けなければ失効すると規定されています。

千葉県での放課後等デイサービスの開設には、主に以下の流れが必要です。

1. 事前相談
   県の障害福祉課または地域振興局にて、開設意向の伝達と初回ヒアリングを行います。
2. 申請書提出（前月15日まで）
   法人登記簿、物件図面、従業員配置表、運営規程など多数の添付書類を含みます。
3. 書類審査・現地確認
   申請内容と現地設備が適合しているか確認され、是正勧告が入る場合もあります。
4. 指定決定・事業開始
   毎月1日付で指定が発効。原則、指定通知書を受け取ってからでないと利用者受け入れは不可です。

加えて、放課後デイは6年ごとの更新指定制度であるため、運営継続にあたっては更新申請と再審査が必須となります。

開業において躓きやすいのが物件選定です。以下のチェックポイントを踏まえて選定を進めましょう。

• 都市計画法の用途地域確認
  放課後デイは「福祉施設」に該当し、住居専用地域では不可な場合があります。
• 建物用途変更が必要か確認
  テナント物件では「事務所」や「住宅」からの用途変更許可が必要です。
• 送迎スペースの確保
  車の転回や乗降スペース、近隣からの苦情リスクを事前に把握しておきます。
• ハザードマップ確認
  津波・洪水・土砂災害エリアは避け、災害時の避難ルートを確認します。
• 防音性能
  学習・運動を行う施設として、防音性のある構造か、近隣への配慮が可能かも重要です。

特に千葉県の沿岸部や低地エリアでは、液状化リスクや浸水リスクもあるため、ハザード情報の確認を徹底してください。

千葉県では一部地域で「新規開設の総量規制」が行われています。すでに事業所数が一定水準を超えているエリアについて、新たな指定を制限するものです。

例えば、東葛地域や千葉市周辺では「既存事業所の定員が十分」として、開設希望があっても申請受付を見送られる可能性があります。逆に、南房総や夷隅地域など供給が不足しているエリアでは開設が推奨されているケースもあります。
そのため、開業前には必ず以下を確認してください。

• 県・市町村への事前相談で需給状況を確認
• 該当地域の障害児数・施設数の統計資料を入手
• 総量規制が緩和または強化された時期の動向をチェック

このような需給状況の調整は、年度途中でも変更されることがあるため、申請予定の半年前には必ず最新情報を収集することが推奨されます。

千葉県で放課後デイサービスを開業するには、児童福祉法について十分な理解が必要な上、県の指定を受けるための申請書類を作成することになりますが、個人で行うには時間と労力がかかってしまい、開業にこぎつけるのは困難であると予想できます。初めての開業であればノウハウや知識も十分ではないため、サービスが行き届かないことも有り得ます。

開業する前の課題をクリアするにあたって、フランチャイズを利用するのも選択肢の一つとして検討しましょう。フランチャイズなら、様々な地域で開業しているため、申請書類作成のノウハウや、サービス提供のアイデア、経験などを持っていてスムーズに開業できるメリットがあります。

千葉県では、全国規模で展開する複数の放課後等デイサービスFCチェーンが進出しています。たとえば、ブロッサムジュニア（個別支援＋集団療育の併用型）、こどもプラス（運動療育特化型）、ウィズ・ユー（心理療育に強み）などがあり、県内各地に複数教室を構えています。

具体例として、松戸市・市川市・千葉市では早期にFC店舗の展開が進み、2025年現在も新規開設が続いています。人口集積地では競合も増えているため、エリア保護制度（独占出店）の有無は事前に確認しておくと良いでしょう。

FC本部を比較検討する際は、以下の項目を確認しましょう。

• 加盟金とロイヤリティの総額と内訳
• 指定申請や物件取得の代行・支援の有無
• スタッフ採用支援（求人媒体提携、面接同行）
• 本部訪問支援の頻度（初期／運営中）
• 療育プログラムの独自性と評価実績

また、最近では「医療的ケア児対応」や「重症心身障害児特化」などの専門FCも登場しており、将来的な多機能型展開を見据えた選択も可能です。

放課後等デイサービスのフランチャイズを開業するには、まず、どの本部と提携するかが重要です。
では、どのような基準で本部を選べばよいのでしょうか。
カギとなるのは、「なぜ放課後等デイサービスに参画したいのか」という想いです。
その本部の療育方針や理念に共感できるかどうかが、選定の大きな判断基準となります。
当サイトでは、どんな子どもたちを支援できるフランチャイズ本部なのかを切り口に、放課後等デイサービスのフランチャイズ本部を3社ピックアップ。それぞれの療育方針や特徴をまとめていますので、ぜひチェックしてください。